社会・未来について

女性が働くこと 25年の変遷

国際女性ビジネス会議での恒例スピーカー、ゴールドマン・サックス証券 副会長のキャッシー・松井さんのお話は、日本における女性の労働環境の大きな変化を知ることができるものでした。

私の世代は、結婚したら寿退社、専業主婦になるが当たり前。一流企業に就職を目指すのは、一流企業の旦那さんを見つけるのが目的という女性がまだまだ多い時代でした。そんな中でも、仕事がしたいと望むのであれば、「家事は手を抜きません」と宣言をし覚悟を決めるような空気でした。
私の大学院在学中も、教授から「女性が大学院卒だとお見合いでは不利に働くからね」という話を聞き、私の志と社会とのギャップを感じたのは25年前でした。

この国際女性ビジネス会議も、第一回はそんな時代に開催されたものだったと思います。
それから25年。その当時からは、女性が働く環境も大きく変わったことを肌で感じています。

キャッシー・松井さんが提示してくれたデータは、私が想像していた以上に、日本の女性が働くのが当たり前になっているという驚きの数字でした。
日本人女性の就業率。世界に比べると低いと思っていましたが、今や逆転し
・日本 71%
・アメリカ  66.7%
・ユーロ圏 63%
と、アメリカとユーロ圏を抜いているのです。

また日本の育児休業制度は、育休期間中も給料の60〜70%の給付を受けることができるという手厚い制度があり、日本が先進国でNo,1とのことでした。

また男性への世代別のアンケートで、「パートナーには仕事をしてもらいたいか」との質問では、世代が上なほどNOが上回るのに対して、20代では70%程度が女性に仕事をしてもらいたいと望んでいるというグラフが示されていました。

一方で、働く女性は増えているけれど、女性管理職や企業の役員比率では、世界に比べて女性はまだまだ低いという結果は、変わっていないようです。今回の菅政権の大臣が並んだ写真を見ても、世界に比べていかに女性が決定権をもつ重職につくのは少ないことがみてとれます。

働きたいけれど、管理職や役員になりたくないという女性側の志向も強いのも事実のようです。
ただそれは、「今の管理職の形態だったら・・・」という条件付きのもので、管理職や役員の働き方も変えていく必要があるのかもしれません。

すでに作られた男性社会の中で、男性と同じように女性も働かなけれべいけない、ということではなく、社員が働きやすい環境づくりをすることが重要なことかもしれません。
例えば、女性には男性よりも励ます言葉をかけることが効果的とされていたり、完璧を求めすぎず長期的に見て結果を出せるような柔軟な仕事への取り組み方を受け入れていく、といったことも必要かと思います。

「ダイバーシティ」が重要視される時代、実際に女性管理職の高い日本企業は、増収率とROEが高い傾向があるとの結果があり、ESG投資が急速に伸びているという紹介もありました。

労働力としてだけでなく、女性の感性や発想が、これからのビジネスシーンにおいてますます必要とされていくこれからの社会。先を歩んできた先輩として、若い女性たちに多くのチャンスを与えられるようなリーダーでいたいと強く感じました。

 

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