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Google リターゲッティング広告制限

過去に検索して閲覧しただけの商品が、別のサイトの広告として表示されることに気持ち悪さを感じる経験をした人は多いと思います。これはサイト訪問履歴を基に広告で再アプローチする「リターゲッティング広告」というものですが、3/4の日経新聞によると、Gogoleは個人情報保護の観点から、chromeでこの使用を制限すると発表。配信対象を絞り込むターゲティング技術を高度にすることで成長してきたネット広告の転機が見えてきました。

広告を出す企業側にはもちろん、ユーザーにとっても自分が全く関係のない広告は表示されず、関心のある分野の広告に触れる機会があるメリットもり、年々その市場を広げてきたネット広告ですが、そもそもリターゲット広告とはどのようなものなのでしょう。

1、ターゲッティング広告の種類

ユーザーやコンテンツの情報を分析して、ユーザーにとって適切と思われる広告を配信するものですが、以下のターゲット種別に応じて、広告を表示・配信しています。

  • デモグラフィックターゲティング
    (年齢、性別、所得、職業などの属性から)
  • ジオグラフィック(ロケーション)ターゲティング
    (IPアドレスや、GPS等から位置情報から)
  • 行動ターゲティング
    (webサイトでの閲覧履歴、広告に対するクリック等の行動履歴、ECサイトでの購買履歴などから)
  • リターゲティング
    (広告主サイトへの訪問や、商品の詳細ページの閲覧、商品の購入等の行動を記録から)
  • 検索キーワードターゲティング
    (検索エンジンやサイト内検索で使用したキーワードから)

 

2、リターゲッティング広告(サードパーティクッキー)

リターゲット広告は上述の通りターゲッティング広告の中の1つで、過去に関心や興味をもってくれたユーザーに対して、再び働きかけることができるため、一度離れたユーザーを呼び戻す効果がある広告手法です。
これはネット広告事業者がユーザーの閲覧履歴を追う技術(サードパーティクッキー)を使って、ユーザー一人ひとりの情報を元に広告配信しています。

この技術はどんどん高度になり、ユーザーによっては「自分の行動を盗み見られている」との不満も高まり、Googleはこの広告会社などウェブサイトの運営企業以外が行動追跡に使ってきた「サードパーティークッキー」の技術に対して、chrome上での対応を2022年までに止めるとのこと。個人の閲覧追跡はさせない方針に踏み切ったことになります。
AppleもSafariでサードパーティクッキーの使用をいち早く制限しています。

3、今後の流れ

とはいえ、ネット広告事業への依存度が高いGoogleは、プライバシー保護と広告の効率を両立する技術の開発を進めているとのこと。それは、一人ひとりの閲覧履歴をブラウザに搭載したAIで解析して、似た趣味や趣向を持つ数千人を同じグループにくくって、広告を配する技術を開発。個人を特定しない仕組みで、この3月に試験を開始するそうです。

Appleもターゲッティング広告に対する規制を強めるとのことで、プライバシー保護への動きが強まる一方、各企業はネット広告の事業モデルの見直しをせまられることになります。
今後は自社で顧客のデータをとってマーケティングに活かすなどの手法を取り入れる必要があり、多くの利用情報を握るGoolge・Facebookなど大手IT企業はさらに有利になり差が広がる可能性があります。大手ITによるネット広告の寡占がさらに加速するという懸念点もありそうです。

参考;
日経新聞 2021年3月3日 Google、ネット広告の制限強化 個人の閲覧追跡させず
日経新聞 2021年3月4日Google、なぜターゲティング広告を制限?
日経トレンド 2019年2月19日ネット広告配信事業者はCookieをいかに利用しているか
DDAI(Data Driven Advertising Initiative)ターゲティング広告とは

 

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