社会・未来について

DXならぬGX(グリーントランスフォーメーション)

元日から日経新聞で10回ほど連載された「第4の革命 カーボンゼロ」。新たな時代の幕開けを感じさせる内容でした。コロナによりDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速し、人々の暮らし方、働き方が大きく変わろうとしていますが、もうひとつの変革が起きようとしているのです。
※カーボンゼロ=CO2の排出量を森林が吸収する分を差し引いて、実質ゼロにするというもの。

化石燃料で発展してきた人類の歴史。歯車が逆転して、エネルギーの主役が交代するといいます。
人類史における革命、農業→産業→情報、そして第4の革命が起きようとしているというのです。
昨年10月、日本政府も2050年までにカーボンゼロを達成する目標を掲げ、ようやくその道を歩み始めた事を、企業の方針発表やメディアを通じて、私自信も肌で感じるようになりました。

2050年カーボンゼロ実現までの技術革新のシナリオ

日経新聞の元日、第一回目の7面の記事では、「技術革新が開く地平」としてこんな内容が紹介されていました。主な技術候補と、実用化の見通し。2040年代は今の私たちから見るとまるでSFのような話です。

Step1(2030年前半)
・各家庭に太陽電池が普及
・使いきれない電気は、連結して地域全体で使いこなす
・ビルの屋上や壁には、太陽電池を設置
・ビルの断熱生を極めた「ゼロネルギーハウス」に
・電気自動車の充電ステーションの整備
・太陽熱の余剰電力で水素製造
・空飛ぶ車

Step2(2030年代後半)
・大気中のCO2を吸収して溜め込む
・CO2で燃料や肥料をつくる
・光合成能力を飛躍的に高めた植物
・砂漠でも収穫できる作物
・高層の風を活かす風力発電
・海の潮の流れを利用した潮流発電

Step3(2040年代)
・宇宙で太陽光発電し(=曇りがない)、地球に送る
・太陽の反応を地上で再現する「核融合発電」

動き始めている脱炭素への道

その後の連載では、未来に向けての国内外の企業の取組みが紹介され、人間の技術の進化が、地球環境を守るために大きな変革を起こし、動き始めていることを知りました。
2000〜2019年の洪水や台風などの気候災害は、その前の20年よりも1.8倍といいます。気候変動という地球規模のリスクを回避することなしに、世界経済の成長はおろか維持さえもありえません。企業の価値がGX(グリーントランスフォーメーション)で決まる時代に入っているようです。

この連載の9回目には、えねこやの代表 湯浅 剛さんが紹介されてました。湯浅さんは2011年の福島原発事故から脱原発を唱え、太陽光発電のエネルギーだけで家で使う電力を賄うえねこやを設計、活動を実践されている建築家さんで、私も多くのことを学ばせてもらいました。あの当時は、太陽光発電など自然エネルギーだけで人々が生活するなんて、もちろん実現できれば素晴らしく応援する想いはもちつつも、そう簡単ではないのではないかと思っていました。しかしこの10年で世の中は大きく変わり、今となってはようやく世界が追いついてきたようにも感じられます。

ただ連載を読んだ中には、脱酸素ということで火力発電を減らし再生可能エネルギーの割合も増える一方、日本は地理的な制限もあり再生エネルギーだけで全てのエネルギーを賄うのは難しいということから、原子力の割合を増やしていくという動きもあるようです。必要なだけ最低限で安全に供給する小型化した原子力発電ということのようですが、未来に対して不安を残す問題であります。

エネルギーの作り方を考えるのと同時に、私たち人間のエネルギーの使い方も考える必要があるのかもしれません。

 

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