教育のこと

オンライン授業でみた学生の力

ついに前期のオンライン授業も終わり、学生たちの柔軟性と適応力の高さに驚かされる結果となりました。

つい半年前までは、大学教育もアクティブラーニングをとグループワークやディスカッションなど、コミュニケーションを通じての学びが求められるもでしたが、コロナにより大学をとりまく環境が一変。

学生に会えずに、学生同士も顔を合わせず、そもそも学生の自宅のPC環境も整っていない状況で、どのように授業をすればいいのか…。試行錯誤で始まったオンライン授業でした。
動画配信やZOOM、大学から提供されたICTシステムを使って、どうにかシラバスの通りの授業を進め、そして先日の最終授業日。グループワークにより完成させたアニメーション作品のオンラインプレゼンでは、その質の高さにただただ驚き。
一度も会うことなく、オンラインを使っての学生同士のコミュニケーションで、ここまで完成させたのかと、画面に流れる作品を前に涙がにじんできました。

その授業の様子を少しご紹介したいと思います。

オンラインでのグループ制作

3〜4名のチームに分かれて、1本の動画作品(ストップモーションアニメーション)を完成させるという内容。シナリオ作成、撮影、画像処理、Adobe Premiereによる動画編集、BGMなどの音響効果、ナレーションなど、役割分担して制作します。
ここでのチームは元々友達などではなく、このオンライン授業で割り当てられ、初めて話したメンバーだったというケースもありました。

授業の進め方

1、制作プロセスの理解(動画配信)
2、動画を見ながら、実際に自分で制作(自宅作業)
3、チーム分け・チーム管理 (大学システムのグループロジェクト管理機能)
4、グループディスカッションでアイディア出し(ZOOM のブレイクアウトルーム)
5、共同制作(自宅作業&ZOOM のブレイクアウトルーム)
6、発表(ZOOM)
動画編集方法をそれぞれが体験、理解したあとに、チームでの制作を行う流れです。

動画配信としての授業資料

学生にとってのオンライン授業のメリットの1つは、動画配信かと思います。これまでの講義室での授業では聞き逃したり理解し切れなかった箇所も、戻したり一時停止したりして、学生の理解度に応じて授業を聞くことができます。教員の画面共有でのアプリの操作説明は、特にその効果は大きかったと思います。
これまでは、講義中の教員を撮影・録画することはマナー違反であり、学生は必死にノートをとるしかありませんでしたが、ここで改めて学生の学びのために、どんな手法を用意しておけばいいのかを考えるきっかけとなりました。

Adobeの特別措置

Adobeの学生へのコロナ対策措置として、学生が自宅のPCで無償でAdobe CCを利用できたことも、オンラインによる実習授業がスムーズにできた理由の1つでした。
(大学とAdobeとの契約内容によります)
大学のPCで制作していた時よりも、むしろ時間の制限なく制作に没頭できたことでしょう。

zoomのブレイクアウトルームでのグループ制作

オンラインのグループ制作において、この機能の存在が一番大きかったと言えます。授業の初めと終わりは、全員で顔を揃えますが。途中の約1時間は、10グループに会議室を分けて、それぞれのチームで話し合いがなされます。
スタジオネオもZOOMによる画面共有により、オンラインにおいてもコミュニケーションを図りながらチーム制作が実現できていますが(その様子はこちら)、学生たちもブレイクアウトルームの中で、一人のPremiereの編集画面を見ながら、意見を出し合いながら制作を進めているのです。
もちろんシナリオのアイディア出しもこの中で行われました。

学生のしなやかな適応力

一部報道などでは、先生の顔も見えないまま課題地獄となったり、友達にも会えない、高い授業料を払っているのに大学施設に入れない使えないといった学生の精神面においても、辛い状況下におかれているという実態が伝えられています。

そんな記事を目にした当日の最終授業。オンラインで発表された作品たちは、ストーリーのアイディアに富み、私の期待を超えた表現の工夫があり、メンバーと協力しながらこれだけの作品を完成させたことに驚くばかりで、若い彼女たちの力を目の当たりにした気持ちでした。
大人が思うよりもずっと柔軟性と適応力を持ち合わせている、これから変わりゆく新しい社会の中で、彼女たちが主役となって作っていくであろう世界を思い、未来は明るい、そう確信したひとときでした。

 

 

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