デザインの話

中村好文さん講演会「住宅作家の伏流水」

住まい(住宅)や家具の設計をてがけられる建築家 中村好文の講演会を拝聴する機会をいただきました。
建築家 伊礼 智さんが学長をつとめる住宅デザイン学校の受講生のための特別講義ですが、好文さんが作り出す家具や台所空間の世界に憧れ、好文さんの書籍も読み込み、まるで好文さんの信仰者であるかのような主婦の友人が、この講演会の情報を見つけ参加したいと相談を受け、建築家 関本竜太さんがゲスト講師であることからそのご縁で実現しました。

講演会テーマは、「住宅作家の伏流水」
伏流水とは、川の下や地中に存在する水のこと。
好文さんのこれまでの人生にとって、旅や小説、音楽など、設計以外の様々な経験が伏流水のように蓄積され、設計を考えているときにふと表流水としてでてくるというお話でした。潜在意識の中に貯められたものが、何かをきっかけとして浮かび上がってくるアイディアがそうだなあと共感して話を聞きました。

そして、なんといっても今回の驚きは、地球環境との調和や、自然の恩恵とともに生きる住宅を、徹底的なまでに実践されているということ。
オフグリッド(電力会社などから電気を買わずに自給自足する)だけでなく、屋根に落ちた雨水までも生活用水として利用する「線と管をつながない」住宅のお話でした。

▼Lemm Hut(2006年)
https://lemminghouse.com/architecture-lemm-hut/
風力と太陽光で電力をまかない、屋根で集めた雨水を溜めて生活用水に使い、炭火で調理し、薪で五右衛門風呂を焚く生活を送る住宅。

▼全作さんの小屋(2018年)
https://lemminghouse.com/atchitecture-zen-hut/
排水は、縞ミミズと微生物で分解させ、ビオトープに流れ込ませる。
文明の命綱である「線」と「管」を断ち切り、自然の恩恵を享受しつつ地球環境に負荷をかけずに暮らすための小屋。

▼吉田牧場「FUN」(2024年)
https://data.shinkenchiku.online/projects/articles/JT_2024_11_068-0
循環型を意識して作られたチーズ農家のショップ兼施設。
「その土地で作られたものを、その土地で使う」という考えのもと、牧場の牛たちの糞を、塗料として外壁に使用。
これらの事例に、もう驚きの連続でした。

そして好文さんの家づくりに対する思いを感じたエピソードが、「手摺り」でした。
手摺は、住む人のことを考えてひとつひとつ設計していて、同じ手摺はひとつもない。その手摺は、施主と「握手」をしている感覚であると。

自然環境や、住む人のことを徹底的に考え抜いた住宅設計の世界に、形は違えどものづくりをする立場として、たくさんの学びがありました。

貴重な機会をありがとうございました。

 

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