■コンセプト
この作品は、水と光の関係が生み出す幻想的な現象によって、鑑賞者の“こころ”への語りかけを提案する空間となる。鑑賞者の働きかけにより水の表情に変化をもたらすこの場所では、作品と鑑賞者への対話が実現する。光を介することによって現われる水のかたちは、日常感じることのない潜在意識の中に眠る水の記憶を呼び起こすものとなるだろう。
■作品概要
ここでの光源は、スライドプロジェクターによる光である。内部構造に仕組まれたプロジェクターの光は、2枚の鏡に反射し、さらに水を通過して上部にある9個の白いアクリルBOXに画像を現す。アクリルBOXに投影された抽象的な画像は、静寂な水面によって守られている。
しかし、この作品での意図は鑑賞者の参加にある。つまり、鑑賞者がスイッチを押すことにより、水の中にあるプロペラが回転し水面に波紋を起こす。その波紋は、プロジェクターからの画像を壊し、水のかたちに姿をかえる。
9個のアクリルBOXの表面には和紙が貼られ、その表情は日本人本来の記憶にも関わるようなものである。
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